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第4回 木の雑学

素適住生活研究所

木曾の五木

木曾の五木はなぜ5種?

古くから優良な木材の産地として知られる木曾では、ヒノキ、サワラ、ネズコ、アスナロ、コウヤマキが「木曾の五木」として知られています。なぜこの5種が「五木」と呼ばれるのでしょうか?

もともとは四木だった?

木曾地方では、江戸時代初期から中期に城郭や城下町の建築用材として大規模な伐採が行われ、森林が荒廃していました。そこで、資源保護のため、尾張藩は建築用材として価値の高いヒノキ、サワラ、コウヤマキ、アスナロの4樹種について、伐採の一時停止命令を出し、その1年後にネズコも伐採禁止となりました。これは、ヒノキを「ネズコ」と偽った伐採が絶えなかったためのようで、ネズコも加えた5樹種が伐採禁止となり、「木曾の5木」と呼ばれるようになりました。当時は、「木一本、首一つ」と言われるほど、厳しく取り締まりが行われていたようです。

木曾の五木の見分け方

ヒノキ
ヒノキ
ヒノキ科ヒノキ属
サワラ
サワラ
ヒノキ科ヒノキ属
ネズコ
ネズコ
ヒノキ科クロベ属
アスナロ(葉)
アスナロ
ヒノキ科アスナロ属
コウヤマキ(葉)
コウヤマキ
スギ科コウヤマキ属

ヒノキとサワラヒノキとサワラは、ぱっと見ではほとんど区別がつかないくらい似ています。これを見分けるには、葉っぱをひっくり返して葉の裏の模様を見ます。ヒノキは「Y」の字、サワラは「H」の字が見えます。

※写真協力:東京大学付属演習林田無試験地

木にまつわる故事・ことわざ

木に竹をつぐ

木に竹を接ぐことはできない木と竹とは一見似ているようで異なる。木に竹を接ぎ合わせることはできないということから、前後の釣り合いが取れていないこと、つじつまが合わないことの例え。
【マメ知識】
木と並んで、建材や建具によく使われる竹ですが、これは草でしょうか?それとも木なのでしょうか?
竹は木か草か?
竹は、お米のイネやトウモロコシと同じ、イネ科の植物です。日本の代表的な竹であるモウソウチクは、タケノコが食用されるほか、建築や農業、漁業の資材として幅広く利用されてきました。 イネ科の植物は草が多いため、竹を草に分類する学者さんもいるようです。しかし、植物図鑑のなかには、竹を木本(もくほん)に分類しているものもあります。 竹は、数ヵ月で急激に成長したり、地下茎で繁茂したりという「草本(そうほん)」の性質を持つ一方で、何年にも渡って大きくなり、固い幹を持つという「木本(もくほん)」の性質も持っています。そのため、最近では、タケをイネ科の「タケ亜科」と分類する説があります。結局、木でも草でもなく、「竹は竹」というのが妥当な答えのようです。
そもそも、「草」と「木」とは・・・
「草本」を辞書で引くと、「植物の地上部が柔軟・多漿(たしょう)で、木質をなさないものの総称」とあります。一方、「木本」は、「木質の茎(木幹)を有する植物」とあります(広辞苑より)。草本は、茎が細く実ができた後に枯れるものが多いのに対し、 木本は細胞を年々蓄積して木部を形成します。
ただし、この草と木の境目は実は曖昧なもので、植物学上の本質的な違いはありません。桜のソメイヨシノも、イチゴも、ワレモコウも、バラもすべて同じバラ科で、同じ祖先から生まれた植物が木になったり、草になったりしているのです。

炭素固定~炭素固定がゼロの森がある

森林は二酸化炭素(CO2)を吸収し、固定するという話はよく耳にすると思います。でも実は、炭素固定量がプラスマイナスゼロの森があるのです。

木の「光合成」と「呼吸」

木の光合成と呼吸木は、CO2と水からブドウ糖と酸素をつくる「光合成」を行っており、この過程で炭素を固定しています。
光合成が行われるのは光の当たる昼間のうち。夜は人間と同じように呼吸して、酸素を吸ってCO2を吐き出しています。また、木が焼けたり枯死したりすると、固定されたCO2が再び大気中に放出され、炭素固定量はプラスマイナスゼロとなります。

年をとると固定量はプラスマイナスゼロ

この炭素固定は、年をとった老齢林よりも壮齢林の方が盛んに行われます。人が約700年の間立ち入らなかったという、千葉県の浅間(せんげん)山で炭素固定量を測定したところ、固定量はゼロだったそうです。もちろんこの間に、森のなかでは新しい木が生えたり、古い木が枯死したりしているのですが、トータルで見ると炭素固定量はプラスマイナスゼロだったのです。

日本は森林も少子高齢化

人工林の林齢別分布図は、日本の人工林の面積を森林の年齢別に表したものです。戦後に植林された樹齢30~40年生くらいの森林が一つのピークになっていることが分かります。森林伐採が減り、伐採されても植林されないケースが増えているため、このままいくと数年後には若い森林の割合がますます減ってしまいます。CO2は地球温暖化の原因の一つとされています。
木材を住宅などに使えば、別の形で炭素を固定できます。温暖化を防止するためには、日本の森林を適度に伐採・植林して若返らせることが大切なのです。

環境問題~木を切ることは自然破壊?

愛知万博のウッドデッキを歩いていたある家族が、「環境万博なのにこんなに木を切ったら環境に悪いじゃないか」と会話していたそうです。(林経新聞2005年3月28日号より)
木を切ることは悪いことなのでしょうか?

世界有数の森林国日本

日本は、国土に占める森林面積の割合が約67%で、比率としてはフィンランドに次いで世界第2位と、世界でも有数の森林大国です。このうち、人の手で植えられた人工林の割合は約4割を占めており、その多くがスギやヒノキなどの針葉樹です。特に戦後植えられたスギ・ヒノキが成長して伐期を迎えつつあります。しかし、日本の木材自給率は2割以下。日本の山は、急峻で手入れや伐採にかかる費用が高いことや、木材価格が下落したこと、人手不足などが理由で、人工林が使われなくなっています。

あるのに使われない木材

間伐や枝打ちなどの手入れが不足すると、森林の下層に光が入らず、植物が育ちにくくなります。暗い森では、土壌が植物で覆われずにむき出しになり、雨が降ると土壌が流れ出して、地力が下がってしまいます。
現在は、手入れだけでなく伐採も減っているため、新しく植える場所がなく、結果として若い森林が育たなくなっています。また、伐採しても、植林に費用がかかるために、再度の植林が行われないまま放置される山も増えてきていると言います。
木は、再生可能な資源です。例えばスギなら、伐採しても植林すれば50~60年で再び用材として利用することができます。その環境にあった適切な管理を行えば、森林は持続可能なのです。日本の人工林では、伐ることが自然破壊ではなく、適切に管理・利用し、伐採・植林を繰り返していくことが大切なのです。

木の正しい知識を広めよう

ナイス(株)の小牧市場を見学した中学生から寄せられたお礼の手紙には、「木を伐る(木が減る)と環境が悪くなると思っていましたが、(説明を聞いて)そうでないことが分かりました。」と書かれていました。
熱帯地方での森林破壊問題から、日本においても「森の木を伐るのは悪いことだ」というイメージを持っている人は少なくありません。しかし、日本ではむしろ伐採しないことが森林の若返りを妨げ、国土保全上の問題にもなっています。木材を扱う立場として、木の正しい知識をもっともっと広めていく努力が必要と思われます。

参考文献
出典:「現在に生きる故事ことわざ事典」(株)旺文社
写真協力:東京大学付属演習林田無試験地