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注目!免震住宅

≪大地震で実証された免震構造物の効果≫
免震が脚光を浴びたのは、1994年にアメリカで起きたノースリッジ地震です。多くの病院が被害を受けたなか、免震構法で建てられた病院だけは、構造はもちろん、戸棚・備品の転倒や設備の破損もなく、すぐに病院としての機能を発揮できたということで、免震への注目が集まりました。免震は、もともとは高層ビルやマンションなどに用いられることが多かったのですが、最近木造戸建住宅にも使える免震装置が登場し、注目を集めているのです。
素適住生活研究所

免震構造物のメリット

免震建築物は揺れないの?免震では、地面の揺れが住宅に直接伝わらないため、家具や備品などの転倒や、配管などの設備の損傷を防ぐことができます。建物内部の痛みが少ないので、資産価値も下がりにくくなります。
震災後も、ライフラインさえ復旧すれば再び使用できるので、復旧費が軽くなります。また、地震だけでなく台風のときにも揺れが小さくなるので、不安感が小さくなる効果もあります。

大手ハウスメーカーの動向

平成15年の後半から、積水ハウス㈱、三井ホーム㈱が、免震住宅のテレビコマーシャルを盛んに放映しています。これを見て関心を持った方も少なくないようです。
全体的には各ハウスメーカーとも「これから」といったところではありますが、今のところ、㈱一条工務店が1,150棟(平成16年3月末現在)という実績を積んでおり、業界でも9割程度のシェアを占めているようです。価格はばらつきがあるようですが、床面積40坪程度、総2階の場合で300~400万円というのが標準のようです。これに、地盤調査や構造計算、確認申請などの経費が付加されることになります。

免震のメカニズム

免震のメカニズム免震では、建物と地盤との間に特殊な装置を入れます。建物と地盤との縁を切っているため、地震の振動エネルギー(横揺れ)が建物に伝わりにくくなり、建物の揺れは3分の1から7分の1程度まで小さくなります。

弾性系

弾性系免震装置積層ゴムなど粘性のある材料で作られたもの。超高層ビルが主で、戸建てではあまり使われません。

すべり系

すべり系免震表面の摩擦が小さい材料を用いて、建物を滑らせるもの。

転がり系

転がり系免震球状の材料が転がることで建物を移動させるもの。

揺れ方を実験で比較

免震とそうでない住宅の揺れ方を、模型を使った実験で比べてみました。

=使った装置=

免震装置の模型免震装置の模型2

左は免震、右は非免震の模型です。免震の模型は、その建物の下に台車がつけてあります。

=実験結果=

非免震では建物自体が揺れて、家具も倒れてしまいました。一方、免震では、家具の位置もほとんど動きませんでした。

免震

揺れ方の実験比較(免震)揺れ方の実験比較(免震) 揺れ方の実験比較(免震)

非免震

揺れ方の実験比較(非免震)揺れ方の実験比較(非免震) 揺れ方の実験比較(非免震)

必要な手続き

1.地盤調査

戸建免震住宅は、基礎がしっかりしていないと、免震効果がきちんと発揮されません。地盤条件が最優先されるため、建てる前にボーリング試験などの調査が必要になります。具体的には、地盤が第三種地盤(軟弱地盤)や液状化のおそれがある地盤の場合は、確認申請だけでは建てることができません。試験は、通常、標準貫入試験(深さ20m程度)を行います。

2.構造計算と確認申請

現状では、4号建築物(木造では2階建て以下、述べ床面積500㎡以下のもの)でも構造計算と確認申請が必要になります(※)。構造計算は次の2通りがあります。

  1. ■限界耐力計算法:告示(第2009号)に定められている計算方法
  2. ■時刻歴応答計算法:超高層と同じ方法。ただし、設計期間が4~6ヵ月ほどかかる上、国土交通大臣の認定が必要で、その認定費用に400~500万円程度かかると言われています。

※免震について基本的な事項を定めている国土交通省告示2009号、2010号では、4号建築物においては2010号に適合した免震装置を使用すれば、構造計算書の提出は省略できるとされています。しかし、2010号に適合する装置はまだないため、現状では構造計算が必要です。今後、2010号に適合する装置が発売されれば、免震を採用しやすくなるかもしれません。

使える建物とは?

免震にした場合、300~400万円程度の初期費用がかかります。これは、装置そのものの費用のほか、上屋を支える鉄骨の架台の費用が大きくかかっているようです。このほかにも、建物の形状に次のような制約があります。

1.構造上の制限

木造3階建て、建物高さ13m以下、軒下9m以下の制限があります。

2.建物形状の制限

上階がせり出し(オーバーハング)のものはできません。また、部分地下やビルトインガレージも基本的には不可です。

3.建物周りや床下に余裕が必要

地震時に建物が水平に動くため、周りに余裕が必要です。最低でも、人が通らない場合は50~60cm程度、通路にする場合は110cm程度のスペースをとる必要があります。また、点検作業や装置の取り替え作業のために、床下に最低70~80cmの余裕が必要です。

結論

○家具転倒も防ぎ安全性アップ
×コストや建物の制約がネック
これまで関東周辺では約70年、東海地方では100~150年の周期で大地震が起きてきました。今年は、関東大震災(1923年)から81年目、安政の大地震(1854年)から150年目。巨大地震はいつ起きてもおかしくないと言われるなかで、地震の揺れを低減し、建物の倒壊だけでなく家具の転倒も防げる免震構法は、安全性の高い有効な手段だと言えます。しかし、構造計算が必要なこと、イニシャルコストが大きいこと、建物形状に制約があることなど、難しい面が多いのも確かです。免震ほどお金をかけずに地震での家具の倒壊を防ごうとするのなら、きちんとした「耐震」をしたうえで、家具の転倒防止装置をつけるなどの手段もあります。
求められる安全性のレベルとコストのバランスを見て、最も適当なものをご提案することが大切だと思います。